以前から言われていた少子高齢化・人口減少社会の到来に加え、新型コロナウィルスの影響によって、企業を取り巻く採用環境は大きく変化しました。今後は採用力の強化はもちろんですが、それ以上に定着力の強化が必要な時代となっていくと予想しています。自由区域の役員である大西うららはグラフィックデザイナー兼キャリアコンサルタントとして活動しています。デザインの力とキャリアコンサルティングを結びつけ、採用という企業課題に向き合うメニューをご用意しております。
孝之株式会社自由区域の今後の大きな戦略のひとつに、採用関連というものを挙げているわけです。というのも、今後、採用環境が大きく変化していくと想像しています。そういった時代背景を考えると、「採用力」だけではなくて、もう一歩踏み込んで「定着力」を上げることが必要な時代になってくると考えています。それで、自由区域のクリエイティブとキャリアコンサルタントの力が絡み合ったときに、社会課題の解決に役立てるのではないか、と考えた次第。
うららまず「採用」ということを考えて、その入口がクリエイティブ。採用サイトだったり、会社案内だったり、企業の魅力を発信することが必要ですよね。でもそれらは入社するところまで。問題は入社してからだと思うんですよね。入社するまでは、どんな会社も「いい会社ですよー」と言って集めるわけですから。入社した後……つまり離職率を下げることをしっかりと考えていかなければいけないですよね。
孝之その中でキャリアコンサルタントが担う役割が重要になってくるかもしれない。
うららキャリアコンサルタントの仕事というのは、経営者と社員さんの橋渡しという役割があると思います。経営者のニーズをお聞きして、それをベースに社員さんの研修なりコンサルティングに落とし込んでいく。その結果などを経営者にフィードバックする、というところまでしっかりやっていかなければいけない。そういったことを定期的に繰り返すことでいいスパイラルが生まれることを期待しています。
孝之キャリアコンサルタント自体、まだそれほど広く認知されているわけではないので、どういったことをするのか説明をお願いします。
うららキャリアコンサルタントとは、働く人たちがそれぞれ自分らしいキャリアを歩んでいけるように、カウンセリングや研修などを通じて支援する人のことで、2016年から国家資格になっています。進路指導や転職支援のイメージをもたれる方も多いと思いますが、それだけでなく、従業員のキャリア形成のためにキャリアコンサルタントを導入している企業も増えてきているところですね。
孝之採用力に関しては、自由区域が考えていることというのが少し違っていて……マイナビやリクナビといったところに費用をかけるよりも、自社のサイトの中に採用ページを構築する、さらに紙媒体として会社案内を充実させる、そういった内容を提案したいと考えています。なぜかと言えば、採用~定着ということを視野に入れたとき、企業に求められるのは「正直さ」や「真摯さ」だと思う。入社した人に長く勤めてもらうためには、入社時と入社後の乖離をできるだけすくなくしていかなければいけない。だからこそ、自社でコントロールできるツールを強化していくことが大事だと思うんです。
うらら確かにそうですね。私自身、転職をたくさんしてきた過去があります。その中で感じたことを伝えられたら、と思いキャリアコンサルタントになったのですが……。やはり、転職活動をしていると、採用段階での情報発信と、入社してからのギャップを感じることも多くありました。「あれ? こんな会社だったっけ?」という。そういうショックを緩和させることが、離職を防ぐ第一歩だとも思いますね。
孝之自由区域のクリエイティブって、そういう正直さと真摯さというのが基本。ボクがライターなので、できるだけ正直に。
うらら「あれ、こんなはずじゃなかった」「やらせてもらえると思った仕事ができない」とか。そういうリアリティショックが実際にありますよね。それを採用段階から「私たち、こういう会社です!」とぶっちゃける。ライターの力は必要ですよね。盛るのではなく、丁寧に語る。そうするとミスマッチは減るのではないかと思います。
孝之昔、実は採用系のポータルサイトの原稿とか書いてたこともあるんです。取材時間が大体1時間なんですよね。1時間で話を聞いて、その会社の良さを書く。果たして、その会社のことを本当の意味で語ることができているのか、ずっと疑問だったんですよね。
うらら1時間じゃ本当のところは分からないでしょうね。
孝之で、人事の人から「この人に取材してください」と指定されるわけですよ。要は会社から指名された、会社のことを悪く言わなさそうな人。事前に質問事項を送るのだけど、その質問に対する答えを先にメモしておく。さらに人事とその答えを握っておいて取材に臨む……。
うららヘタなことを言えない雰囲気。
孝之そう。本音なんか出るわけないよね。結果、ミスマッチが生まれてる可能性は否定できない。
だから、採用の段階から「定着」を視野に入れていかないと、なんですね。
うらら入口から出口までを一本の線でつなげることが必要なんじゃないかなぁ。
孝之たとえば採用サイトと会社案内を創る。そうすると自然とヒアリングの時間は多くなります。さらに、自由区域ではそれらのデザインをキャリアコンサルタントが行う、と。
うらら採用のときに見聞きした、会社の目標とか目線、求める人材像とかをキャリアコンサルタントが理解したうえで定着のための施策を行います。
孝之それが強みですよね。じゃ、キャリアコンサルタントとして、具体的に「こういうことをしたい」というのはありますか?
うらら関わりかたとしては、臨機応変に。採用系のツールに携わって、その会社を知ったうえで従業員の方に合ったキャリア相談とか、ニーズに沿った支援をしていきたいですね。目指すのは、その会社の成長です。内部から一緒に活性化しながら、成長していける関係性を築きたいと思います。
孝之従業員のキャリア相談、研修と並行して、経営者への働き方も必要ですよね?
うらら経営者のニーズを知ることも重要なミッションですね。そこがなくて、従業員に寄り添うだけだと、結果的にお互いが不幸になりかねない。
孝之採用から定着まで、これから必ず必要になってくると確信しています。それでは最後に、この対談を読んでいる方へのメッセージをお願いします。
うらら私自身、たくさん転職を繰り返してきました。つまり、採用される側だったんです。だから採用される側の気持ちはよく分かります。そして今、独立して会社の役員と個人事業主という側面もあります。採用する側の気持ちも少しは分かるようになってきたかな、と。そのうえでキャリアコンサルタントとしての視点を持って、お互いが幸せになるようなアプローチをしていきたいですね。経営者にも従業員にも、どちらにも共感する気持ちを持ちつつ、課題解決のために一歩引いて。そんなスタンスで一緒に考えていきたいですね。
孝之これからもよろしくお願いいたします。